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食肉加工業界における「環境自主行動計画」の実施状況について(2012年度)
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日本ハム・ソーセージ工業協同組合は、2003年7月に食肉加工業界における「環境自主行動計画」を策定し、その実施状況等については毎年調査を行い公表しております。このたび、2012年度分をとりまとめたので報告いたします。 |
項 目 |
回 答 |
業種名 |
食肉加工品の製造、販売業 |
会員企業の主な製品 |
ハム、ソーセージ、ベーコン(以下食肉加工品という)及び惣菜等 |
国内の総企業数、総生産量、総生産額 |
食肉加工品の製造・販売業の総企業数、総生産量、総生産額は統計がないため不明。 |
団体の会員数及びその生産量、生産額
(団体会員が加入している場合は、その会員数等もご記入下さい。)
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食肉加工品の生産数量 : 52.0万トン
24年度末の組合員数 : 142社
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フォローアップのカバー率 |
カバー率 : 56.6%
(別紙1、8社の食肉加工品の生産数量シェアーから推計)
カバー率を高める方策の一環として、試行的に別紙1の8社以外の組合員企業からも毎年度のエネルギー使用実績の報告を求めている。2012年度には約80社から当組合に対し報告があり、生産量では89.8%のカバー率であった。
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フォローアップに参加している企業数及び
その生産額・生産量 |
企業数:8社
生産額:不明
生産量:33.0万t
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業種に係る製品以外の製品を製造している場合のCO2排出量の取扱い(業種間のバウンダリー調整) |
食肉加工品製造工場で、食肉加工品以外の製造を行っている場合にCO2の排出量を区別できないので、バウンダリー調整は行なっていない。 |
自主行動計画の情報公開の方法(HPで公開している場合、そのURLもご記入下さい。) |
団体発行の月刊誌「日本食肉加工情報」及び当組合のホームページに記載している。
ホームページ:http://hamukumi.lin.gr.jp/
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I 温暖化対策(CO2排出抑制対策)
1.自主行動計画における目標
食肉加工業界としては「エネルギーの使用の合理化に関する法律」等に定められた事項を遵守するとともに、各企業・工場において使用エネルギーの削減及びエネルギーの効率的利用に取組み、CO2排出原単位を2003年度の実績から2012年度までの間におおむね5%程度削減することを目標とする。 |
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2.目標達成のための取組み
(1) |
目標達成のためのこれまでの取組み
・ |
CO2排出量の少ない(重油からガス・電力等に切替)エネルギーへの転換 |
・ |
製造方法の改善、機械、設備の定期的な点検整備、稼働の効率化、エネルギー使 用量の進行管理等を通じたCO2排出の抑制 |
・ |
設備更新時の高効率ボイラー及び高効率冷凍・冷蔵設備等の導入 |
・ |
コージェネレーションシステム導入の促進 |
・ |
製造工程の効率化、設備の断熱の適正化等による熱ロスの低減 |
・ |
熱交換機、蒸気の排熱利用、熱回収の促進 |
・ |
インバータによる省電力 |
・ |
工場の統廃合・生産ライン変更に伴う生産性向上による省エネ削減 |
・ |
省エネ検討委員会を設置し、(財)省エネルギーセンターによる工場の省エネ診断を行い、エネルギー管理標準書を作成しての管理体制を構築している。 |
・ |
工場の屋根等断熱効果の高い塗料による塗装 |
・ |
高効率型照明器具に変更し取り付け台数削減・エネルギー使用量の合理化 |
・ |
社内研修等を通じ省エネルギー意識の高揚 |
・ |
ソーラーシステムの導入 |
・ |
照明のLED化、照明の間引き |
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(2) |
2012年度に実施した対策の事例、推定投資額、効果
・ |
A重油の使用量が前年比89.8%、灯油が前年比92.8%となるなど、2012年度は 例年以上に、CO2排出量の少ないエネルギーへの転換が進んだ。 |
・ |
高効率機械を導入(変圧器・冷凍機等)するほか、空調機・熱交換機等の更新を行い、電力エネルギーを節約した。 |
・ |
冷蔵庫の設定温度の見直しやドアの開閉数の減少、不要な照明の消灯、こまめな消灯に努めるとともに、機械の待機状態での電源切り・空転の防止を行った。 |
・ |
高効率機械を導入(変圧器・冷凍機等)するほか、空調機・熱交換機等の更新を行い、電力エネルギーを節約した。 |
・ |
コージェネレーションシステムを導入し、電力・ガス等エネルギーを排熱利用することでエネルギー利用効率を高めた。 |
・ |
炉筒煙管ボイラーから貫流ボイラーへ更新し、又、コンプレッサーの機器更新による重油の使用効率をあげた。 |
・ |
電気使用の合理化に関し、冷蔵庫の設定温度の見直しやドアの開閉数の減少、不要な照明の消灯、こまめな消灯に努めるとともに、機械の待機状態での電源切り、空転の防止を行った。 |
・ |
製品企画の見直しによる効率化で燃料使用量を削減した。 |
・ |
照明、避難誘導等のLED化。 |
・ |
デマンド監視装置の導入によるピーク電力の削減。 |
・ |
生産の集中により生産性アップを図り、機械の稼働時間を短縮した。 |
・ |
社内研修等を通じ省エネルギー意識の高揚 |
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3. エネルギー消費量・CO2排出量等の実績 |
基準年度 2003年度 |
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2003
年度 |
2004
年度 |
2005
年度 |
2006
年度 |
2007
年度 |
2008
年度 |
2009
年度 |
2010
年度 |
2011年度 |
2012年度 |
実排出係数 |
電力排出係数が昨年と
同じ場合 |
実排出係数 |
電力排出係数が2010年と
同じ場合
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総生産量(t) |
490,499 |
503,579 |
494,365 |
487,374 |
487,888 |
496,173 |
504,706 |
503,930 |
513,339 |
513,339 |
520,873 |
520,873 |
CO2排出量(t) |
372,158 |
386,853 |
371,277 |
343,954 |
370,125 |
367,229 |
355,476 |
335,244 |
381,702 |
341,295 |
403,769 |
403,769 |
CO2排出原単位
(CO2t/生産量t) |
0.760 |
0.768 |
0.751 |
0.706 |
0.759 |
0.740 |
0.704 |
0.665 |
0.744 |
0.665 |
0.775 |
0.648 |
2003年度比(%) |
100 |
1.2 |
▲ 1.0 |
▲ 7.0 |
▲ 0.0 |
▲ 2.5 |
▲ 7.2 |
▲ 12.3 |
▲ 2.0 |
▲ 12.4 |
2.1 |
▲14.6 |
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4. クレジット等の活用状況と今後の取得予定
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(京都メカニズムによるクレジット、国内クレジット、排出量取引の国内統合市場への参加)
自主行動計画参加企業より、「クレジットを活用したい」との問い合わせを受け、問い合わせを行ったが、「自主行動計画に参加しているとクレジットの売買はできない」との回答をいただいている。 |
5. CO2排出量増減の要因分析
(1) |
1990〜2012年度のCO2排出量増減の要因分析
2003〜2010年度までのCO2排出量は、1990年度(推計値)に比べ約15%程度減少している。これは主として食肉加工品の生産量の減少によるほか、熱源転換及び電力の効率的利用の推進等を通じ、CO2排出原単位が大幅に改善したことによるものとみられる。
しかし、震災後の炭素排出係数の急上昇でCO2排出量は、2011年度では調整前で2.6%減、調整後で6.5%減にとなり、2012年度では調整前で2.7%増、調整後で6.1%減に留まった。 |
(2) |
2012年度の排出量増減(対前年度)の理由
(震災による影響(電力の排出量の悪化、自家発電の活用等)についても可能な限り定量的にご記入ください。)
エネルギー消費量は、昨年度を下回ったが、炭素排出係数の上昇でCO2排出量は大幅に増加してしまっている。
また、自家発電機を稼働させるために重油を使用したこともCO2排出量の増加につながっている。 |
(3) |
京都議定書第一約束期間中(2008年〜2012年)に実施した対策の事例、推定投資額、効果
(より効果のあった事例について、可能な限り定量的にご記入ください。) |
6.目標達成の評価及び2013年度の見通し
(1) |
目標達成(進捗状況)に係る評価
当組合は、2012年度までに2003年度比でCO2排出原単位を5%削減することを目標に取組を行ってきた。
目標達成に向けた積極的な取組により、2010年度では調整前では約12%減、調整後では約19%の減と目標を大きく上回る成果をあげていた。
しかし、震災による炭素排出係数の悪化が大きく影響し、2011年度は調整前では約2%、調整後でも約6%の減に留まった。
2012年度は、炭素排出係数のさらなる悪化により調整前では約2%の増となってしまった。しかし、調整後では約7%の減となっており目標の5%減を達成できている。
また、炭素排出係数が悪化する前の2010年度の排出係数を用いて計算すると調整前では約%14減、調整後では約22%の減と大幅な削減を達成している。
昨年度の報告書にも記載したが、炭素排出係数の上昇の影響が大きいことから、震災前の係数で算出したCO2排出原単位と、その年の係数で算出したCO2排出原単位を併記し報告することとする。 |
(2) |
2012年度における生産活動、CO2排出量等の見通し(電力需給対策に係る節電や自家発電の活用、電力の排出係数の影響等を踏まえた見通し)
CO2排出量については、炭素排出係数に大きく左右されるため今後も増加してしまう可能性がある。しかし、今後もCO2排出量削減や節電への取組を積極的に行っていきたいと考えている。
生産量に関しては、少子高齢化等を背景とした需要の減退等により、全体として横ばいないし減少傾向で推移するものと見込まれる。 |
7. オフィス、運輸部門のCO2排出削減の取り組み(排出量把握、数値目標設定、具体的な対策等)
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オフィス
・ |
照明、避難誘導等のLED化 |
・ |
窓への遮熱フィルム、散水、日除け対策の実施 |
・ |
掲示物等で従業員の節電意識を高めた |
・ |
省エネパトロールの実施 等 |
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8. CO2以外の温室効果ガス排出抑制への取組み
組合員企業によっては、自ら「森林を守ろう運動」を展開するとともに、各地の森林保全活動や水辺の環境保全活動等に積極的に参加している。 |
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II 廃棄物対策
ハム・ソーセージ・ベーコンの製造工場における廃棄物(動物性残渣、汚泥、廃プラスチック等)の削減及び再資源化を図り、2012年度までに2003年度比で廃棄物の排出量をおおむね8%程度削減するとともに、再資源化率をおおむね90%とすることを目標とする。 |
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2. |
目標達成のための主要な取組み
・ |
排水処理施設の効率的運用、容器包装の過剰な使用の抑制・ロスの低減・素材の見直し等による廃棄物の排出抑制 |
・ |
動植物性残渣及び汚泥類の肥料化及び飼料化の促進 |
・ |
廃プラスチック等の再利用化及び廃油等の再利用化の促進 |
・ |
有機物酸化装置による汚泥削減 |
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3. |
2012年度に実施した廃棄物対策の事例、効果
・ |
排水処理施設の改善、効率的運用に努め、汚泥発生量を削減した。 |
・ |
植物性余剰物について破砕・脱水による減量化(破砕機で粗くカットした後に圧搾機で水分と繊維分に分離、水分を処理層で浄化、繊維分は生ゴミ処理機で減量化)を行い、発生量を抑制するとともに、抽出残渣の飼肥料化を行った。 |
・ |
高濃度タンパク廃液を自社排水処理施設で処理することにより動物性残渣の減少。 |
・ |
製造工程を見直し、仕損品・落下防止対策を講じ削減に努めた。 |
・ |
動物性残渣を肥料化した。また、汚泥を脱水減量後堆肥化した。 |
・ |
包装用フィルムを熱源として再利用することにより廃棄物の排出量を削減した。また、廃油・金属くずのほか、ダンボールの古紙への再資源化を進めた。 |
・ |
包材の厚みの改善。 |
・ |
包装方法の変更により廃プラスチック類の削減に努めた。 |
・ |
処理作業者や、包装工程作業者の教育・指導。 |
・ |
掲示物等での啓蒙による分別の徹底。 |
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4. 廃棄物排出量・再資源化量の実績
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2003年度 |
2004年度 |
2005年度 |
2006年度 |
2007年度 |
2008年度 |
2009年度 |
2010年度 |
2011年度 |
2012年度 |
廃棄物排出量(t) |
77,350 |
77,646 |
71,744 |
72,391 |
72,429 |
72,985 |
68,347 |
69,331 |
72,765 |
67,812 |
種
類
別
内
訳 |
動植物性残渣 |
16,692 |
17,094 |
12,880 |
12,711 |
14,091 |
17,699 |
16,680 |
18,015 |
18,564 |
18,107 |
汚泥 |
34,580 |
34,223 |
32,089 |
33,004 |
32,255 |
29,735 |
30,701 |
27,369 |
25,083 |
23,342 |
その他 |
26,078 |
26,329 |
26,775 |
26,676 |
26,083 |
25,551 |
20,966 |
23,947 |
29,119 |
26,363 |
2003年度比 |
100.0 |
0.38 |
▲ 7.25 |
▲ 6.4
|
▲ 6.36 |
▲ 5.64 |
▲ 11.64 |
▲ 10.37 |
▲ 5.93 |
▲12.33 |
再資源化量(t) |
76.8 |
82.7 |
85.3 |
89.5 |
89.7 |
90.5 |
91.4 |
92.9 |
90.4 |
90.1 |
種
類
別
内
訳 |
動植物性残渣 |
67.8 |
78.0 |
92.0 |
88.6 |
76.2 |
80.4 |
76.1 |
85.5 |
80.5 |
80.8 |
汚泥 |
94.3 |
95.2 |
96.3 |
96.7 |
99.4 |
99.5 |
98.4 |
97.0 |
99.6 |
100.0 |
その他 |
59.3 |
69.5 |
69.0 |
81.1 |
85.0 |
87.2 |
93.4 |
93.7 |
88.9 |
87.6 |
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5. 廃棄物排出量増減の要因分析
(1) |
1990年度〜2012年度の廃棄物排出量増減の要因分析
廃棄物排出量は、2003年度は約7.7万トン、2006,2007,2008年度は約7.2万トンであったが2009年度は約6.8万トンで約4千トンの減少となった。
2010年度は約6.9万トン、2011年度は約7.2万トンと若干の増加を見せたが、2012年度は約6.8万トンと削減に成功している。
また、再資源化率は2003年度の約76.8%から毎年高くなってきており着実に成果を挙げている。 |
(2) |
2012年度の排出量増減(対前年度)の理由
前年度と比べると生産量は増加しているが、排出量は減少している。これは、各社が前述の取組を積極的に行ってきたことによるものと考える。2011年度の廃棄物排出量は約7.2万トンで、前年比で若干の増加がみられる。これは生産量が増加したことが原因である。 |
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